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【アート】台北雙年展2020~あなたと私は同じ星に住んでいない②

Jonas Staal(ヨナス・スタール)~オランダ

プロパガンダ・アーティストとして知られるスタールが今回題材に選んだのは、トランプ元米大統領の首席戦略官だったスティーブン・バノン。

ホワイトハウス入りする以前のバノンは、海軍将校から投資銀行家へ転身、さらに1990年代にはハリウッドでエグゼクティブ・プロデューサーとなり、保守派の市民運動ティーパーティーを称賛する映画や、2008年の大統領選で共和党の副大統領候補だったサラ・ペイリンを擁護する映画など、2016年までの間に18本の映画を製作しています。

スタールの作品は、バノンが手掛けたドキュメンタリーのアーカイブで構成されたもの。経済危機、原理主義的イスラム教、世俗的快楽主義にまみれた、来るべきそして恐ろしい未来の絵図が映し出されています。

しかしスタールの手法は真っ向からの批判ではなく、こうしたプロパガンダがどのように受け取られ、信者にとってどのような魅力を持つのかを正確に分析しようとするもの。相対する主義主張、異なる星に住むものに対し、文化や芸術がどのようにアプローチできるかを問いかけます。

Femke HERREGRAVEN(ファムケ・ヘルグラーブ)~オランダ

こちらもオランダの造形作家、「蝶番の衝突」に「腐敗した空気」と題された2018-19年の作品。

特に興味を惹かれたのが「腐敗した空気」で、近未来のシェルターか隔離室を思わせるビニール張りの部屋に3台のベッドが置かれ、その間にはディスプレイが向かい合うように置かれています。

TVにはそれぞれ、すでに絶滅した古代の鳥・エピオルニス、三葉虫、トカゲという3者の意識のようなものがデジタルで映し出され、3者は会話を交わしているのです。

その中でしばしば言及されるのが「Last Man」という存在。予言者のような存在のようですが「救いはもたらさない」と言います。

また彼らはいつまでもやってこない〝終わり〟を待ちながら「人は二度しか死ぬことができない」「最初は呼吸が止まった時」「二度目は誰かがあなたの名前を口にする最後の時」と考察しています。

ここでご紹介したのはほんの一部です。

最初にも述べましたが、今回の展覧は本当にアカデミック。科学や物理の知識があればもっと楽しめるかも…と思わせられましたが、それでも様々な視点を持ったアーティストがそれぞれ異なる角度から「同じ星に住む」ことを考察するその手法に、とても興味深く鑑賞することができました。

会期は3/14(日)まで。無料のガイドツアーもありますので、ぜひ足を運んでみてください。

また英語/中国語版のカタログは20元!なので、こちらを見ながら鑑賞されることをオススメします。

INFO

臺北市立美術館

住:台北市中山區中山北路三段181號
電:+886-2-2595-7656
営:9:30~17:30(土曜は~20:30、月曜休館)
U:http://www.tfam.museum/
¥:20元