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【特集】中国に限りなく近い離島・金門でオールドタウンとグルメを楽しむ②

⑥金沙エリア:陽翟老街(ヤンジャイラオジエ)

 2014年の台湾映画「軍中楽園」のロケ撮影に際し、1960年代の町並みが再現されたエリア。

当時、国共内戦の前線であるこの地で軍務に就く軍人たちを慰労するために作られた映画館「金東電影館」や理髪店、

ビリヤード場、写真館などが建ち並ぶ。

撮影終了後も保存されているので映画ファンや観光客が訪れるが、

現在は営業していないので町並みを眺めるだけ。

⑦金沙エリア:陳清吉洋樓(チェンチンジーヤンロウ)

 1928年築、シンガポールで生まれた陳氏が父の故郷である金門に建てた洋館。1階と2階の間には花柄のタイルを配し、当時でも際だって華やかな景色を作っていた。こちらも前述の映画で「軍中楽園」と呼ばれる娼館として登場し、「武功衍派」という扁額は映画の中でもそのまま掛けられている。

⑧金沙エリア:睿友學校(ルイヨウシュエシャオ)

 同じくシンガポールで富を築いた陳睿友氏が、親類に頼み故郷に作らせた学校。西洋のバロック様式を採用し、荘厳かつ瀟洒な石造りで、周辺に住む一族の子弟が通った。現在は地域の建設協会が運営し、アートスペースとして活用されている。

住:金門縣金沙鎮三山村碧山1號

⑨金寧エリア:安岐風獅爺(アンチーフォンシーイエ)

 金門に100体ほどある風獅爺の中で、高さ3m78cmと最大なのがこちら。本来、風獅爺は元朝に移り住んだ人々が製塩業を営むため森林を伐採したところ、東北から吹き付ける季節風によって風害が起きるようになり、風の神を鎮めるために作られたのだとか。その表情もさることながら、カラフルに彩られた姿には沖縄のシーサーを彷彿とさせる。過去には「風獅爺ラリー」なるものが行われたことがあるとか。あちこちでグッズも売っているのでお土産にひとついかが?

住:金門縣金寧郷頂林路愛國將軍廟旁空曠的村郊

⑩金寧エリア:慈湖(ツーフー)

 夕日と秋から冬にかけて渡ってくる鳥の停泊地で有名な湖。1960年代の戦時に作られた堤防が海を分断し、内側がこの湖になった。砂海岸線に砂浜から突き出した鉄柱は、母艦から上陸のため乗り換えた小舟艇のモーターを海中で壊すために設置されたものとのこと。干潮時には沖まで歩いていくことができるので地元の人も夕暮れ時に散歩していることがある。この時間、海と湖に挟まれた道をスクーターで走りたい。

⑪金湖エリア:特約茶室(ターユエチャーシー)

 中国からの人民解放軍の攻撃に備え、台湾本島から金門に送られた兵士の数は約5万人。ところが彼らによる暴行事件が多発し、これを問題視した軍が1952年に設置したのが従軍慰安所「特約茶室」だった。島内に10カ所ほど作られたそうだが、ここを舞台に軍人と慰安婦の生活や葛藤を描いたのが前述の映画「軍中楽園」だ。軍人にとって〝楽園〟と呼ばれたこの施設、待遇がよいことから女性が「志願」して来たと言われているが、展示された資料などがその実態を示している。カフェや売店も併設され、スムージーやコーリャン酒入りのミルクティが名物。

住:金門縣金湖鎮瓊林里小徑126號

営:8時半〜17時

⑫金湖エリア:陳景蘭洋樓(チェンジンランヤンロウ)

 金門に現存する中で最大かつ最も完全な形で残されている洋館。シンガポール華僑の陳氏によって1921年に建てられ、砂浜のように白い外壁と海のように青い窓が印象的だ。49年以降は軍部として使われたり、病院や学校、軍人の保養所として活用された。海を望む立地で、その先の「成功海防」には狙撃用の壕なども残されている。隣接する海浜公園は現在オートキャンプ場。

住:金門縣金湖鎮正義里成功村1號

営:8時半~17時半

■金門のお土産

酒釀蛋(ジウニャンダン)

金門の名産であるコーリャン酒で煮込んだ煮卵。台湾のコンビニでも売っている茶葉蛋と比べてもさらに香り高く、味に深みがあっておいしい。アルコールは抜けているのでご心配なく。

葉氏酒醸蛋
住:金門縣金城鎮金門成南門51-1號
営:9時半〜18時半

石蚵(シークー)

石蚵はオハグロガキといって小ぶりの野生のカキ。生臭さがないため生食に適している。金城の中心部にあるカキオムレツの店は連日行列の人気店。

蚵嗲之家クーディエジージァ
住:金門縣金城鎮莒光路一段59號
営:14時半〜19時

牛肉麺(ニウロウミェン)

金門では酒粕を飼料として与えた「黄牛」が名物。こちらの店では冷凍せず生のまま鮮度抜群の牛肉で作る麺がおいしいと評判だ。

良金牧場(リャンジンムーチャン)
住:金門縣金城鎮莒光路一段36號
営:10時半〜20時

虱目魚(シームーユ)

脂ののった白身のまろやかな魚、英語では「ミルクフィッシュ」といい、台湾語では「サバヒー」と呼ばれる。この店ではスープや煮込み、麺などあらゆるメニューを揃えている。

呷甲飽滷肉飯(ジャージャーバオルーロウファン)
住:金門縣民族路36號
営:10時半〜20時

麺線(ミェンシェン)

細くブツブツと切れる柔らかい麺をスープごとレンゲですくって食べる。金門では天日干し製麺が有名。

長光麵店チャングワンミェンシエン
住:金門縣金城鎮中興路16號
営:10時半〜20時

広東粥(グワンドンジョウ)

米の形がなくなるまでじっくり煮込んだ、口当たり滑らかなお粥。肉や魚など様々な具材を入れるが、揚げパン「油條」を合わせて食べる。

永春広東粥ヨンチュングワンドンジョウ
住:金門縣金城鎮莒光路162之2號
営:6時〜13時半

芋頭冰(ユートウビン)

小金門(烈嶼)産のタロイモは香りがよく、なめらかな舌触りが特徴。ここではそのタロイモで作ったアイスクリームをのせたかき氷などが人気だ。

9号讃(ジウハオザン)
住:金門縣金湖鎮復興路7號

海鮮料理

神社前の広場に大きな丸テーブルを出し、生けすの中のエビやカニ、カキに魚など海鮮類をその場で調理してくれる。肉や麺などもあり、深夜まで営業していていつも賑わっている。

新大廟口活海鮮(シンミャオコウフオハイシエン)
住:金門縣金城鎮外武廟戲臺
営:17時〜24時

■金門のお土産

貢糖ゴンタン

ピーナッツと麦芽糖で作るサクサクした伝統菓子。ゴマ入りや海苔入りなど色んな味があり、ご当地限定のパッケージも楽しい。

高梁酒(ガオリャンジウ)

台湾名物の高梁酒、金門産のものは特においしいと定評があり、金門には大きな工場もある。テイスティングもできるのでぜひ訪れてみて。

麺線(ミエンシエン)

全工程を人の手で行い、天日干しで作られる金門の麺線はコシがあり、煮溶けにくいのが特徴。無添加で健康にもよいとして人気のお土産。

一條根(イーティアオグン)

金門で採れるマメ科の生薬で、主に湿布や塗り薬など外用薬に加工される。模範街に専門店もあり、シャンプーや食品も販売している。

金門菜刀(ジンメンツァイダオ)

戦時中に中国が放った砲弾の素材を加工して作られた包丁。「砲弾鋼刀」とも呼ばれ、今でも掘り出された砲弾から生産している。