台湾を10倍楽しむための最新情報誌!!

【アングラ台湾】独自のカルチャーを突き進む ディープな台湾特集①

発展し続ける社会で、台湾にも独自のカルチャーを突き進む、メインストリームから少し外れた居心地のよい空間が生まれている。

魯肉飯にタピオカミルクティもいいけれど、地下カルチャーを作る人や場所と繋がると、そこには今まで知らなかった台湾の姿が。

ちょっとだけディープでアングラな台湾と出会ってみよう。

旧空軍総司令部跡地をリノベーション
実験的国営アートスペース

1.空總臺灣當代文化實驗場

(コンゾンタイワンダンダイウェンホアシーイエンチャン)

旧空軍総司令部が移転した跡地を政府の文化部所属の財団がアートスポットとして活用する「台湾コンテンポラリー・カルチャー・ラボ」、通称「C-LAB(シーラボ)」。

戦前に作られた建物の中では、商業的要素を一切廃した芸術的、文化的で実験的なイベントが催される。

9/15(日)まで開催中の「妖気都市」では、台湾各地の民間伝承に登場する妖怪を、文学とアートの両面からひも解く。

「先住民には主に自然現象や災害を妖怪の仕業とした民話が伝わるが、漢民族は不幸な憂き目に遭った女性の幽霊の類が多い」とはメインキュレーターの龔卓軍(ゴン・ジュオジュン)氏談。

本展では卑南族の作家・巴代の「巫旅」や、日本の作家・佐藤春夫が日本統治下の1926年に台南を訪れ著した「女誡扇綺譚」といった文学と、彫刻、絵画、イラストにCG映像、VR/ARなど各界のクリエイターによる作品が並び、古今を見渡すような景観を作っている。

伝統芸能の人形劇「布袋戯」の背景画家・陳冠良による「怒れる天神」。

8本の手には現代の社会問題に関するモチーフが描き添えられている

地の底に堕ちていくVR「XR-XATA躰」

許自貴「自畫像―帶你去飛」

何采柔「半透明」。

掃除のために掛けたビニールが一層不気味さを増したのでそのまま掛けておくことにしたそう…

妙工俊陽「台湾妖怪シリーズ:烏龍」

甘耀明の小説から「水中の学校と母親を失った川獺」

黄色い雨合羽を着た3人組の妖怪「黄色小飛侠」

未来と過去のメタファーを考古学的に表現した涂維政「巨人と怪獣の遺跡」

昨年行われた、79日間に渡り書物の朗読が睡眠に与える影響とそのプロセスを探る試み「Sleep79」

空總臺灣當代文化實驗場

(コンゾンタイワンダンダイウェンホアシーイエンチャン)

住:台北市大安区建國南路一段177號

電:02-8773-5087、5035

営:9時~21時半(月曜休み)

clab.org.tw

台湾のノイズミュージックシーンはここから生まれる

2.先行一車 黑膠倉庫(せんこういっしゃ レコーズ)

日本のミュージシャン・友川カズキと親交の深いオーナー・王啟光(ワン・チーグァン)さんによる中古レコード店。

友川の同名の楽曲タイトルを店名に、2011年オープンした。

看板はなく、黒いレコードを掛けた鉄扉が目印。

整理整頓とは対極にあり、そのカオスな空間に入るのを一瞬躊躇するも、言語を越えた王さんのコミュニケーションは居心地のよさしかない。

いつしか日本の音楽好きも必ず訪れるスポットの1つになっていた。

台湾ビールを片手に王さんとの音楽談議に花を咲かせる人、地下のスペースでバンドの練習に耽る人。

メジャーとインディーズの垣根がない台湾で、王さんは知り合ったバンドを集めライブイベントをオーガナイズする。

その多くはノイズ系で、絶対的なファンを持つバンドもいくつか。台湾アヴァンギャルド・ミュージックシーンの聖地ともいえる場所だ。

収蔵レコードはあらゆるジャンルを揃えその数1万枚超

王さんの定位置、時にはバイトのバンドマンが座っていることも

多様な機材を備えた地下の練習スペース

友川のサインの上だろうと所構わずライブのポスターが貼られている

先行一車 黑膠倉庫

(せんこういっしゃ レコーズ)

住:台北市大安区師大路102巷8號

電:02-2362-5205

営:15時~21時(月・火曜休み)

bit.ly/2Z7foOp

集まり、企て、カウンターカルチャーを発信する

3.半路珈琲 Halfway Cafe(バンルーカーフェイ)

学生街ということもあって、昼間はそこそこオシャレなカフェの様相。

しかし閉店時刻が近づくと、どこからともなく個性のトガッた奴らが集まってきて、夜な夜な酒を酌み交わす。

だから午前の営業を諦め、午後から店を開ける。発端は2008年、当時の政権が敷いた過剰な警備体制への抗議行動「野苺運動」に参加した面々が、その後も集まれる場を、ということで前身の「直走珈琲」を作った。

スタッフ、というよりも運営メンバーはそれぞれアナーキーなパンクバンドのメンバーだったり、

社会派独立誌の記者だったり、映像アーティストだったり。

店内でも映画の上映やトークイベント、いずれにせよ儲からないことを一生懸命やり、

競争・消費社会の波に乗らずフリンジストリームから世の中を面白くしようとしている。ちなみにみんな金はない。

ここには東京の高円寺を拠点に〝世の中を面白くする〟集団「素人の乱」を率いる松本哉氏を通じて、

これまた元気な日本人たちもやって来る。

最近では香港の条例改正案反対運動に共鳴し、みんなで香港へ応援に駆け付け、帰国後はTシャツを刷って売って支援。

要は活きのいい人が集まり、企て、行動に移すアジト的な場所だ。

その辺で拾ってきたソファで作ったテラス席。これでも運営やイベントの企画会議をしているところ

香港支援Tシャツのプリント作業中

その日集まったみんなでお金を出し合って材料を買い、食事を作って食べる

半路珈琲 Halfway Cafe

バンルーカーフェイ)

住:台北市大安区

羅斯福路三段269巷51弄9號

電:02-2362-5573

営:14時~24時(火曜休み)

halfway-cafe.blogspot.com

商業を切り離した小さなハコ

4.Sunday Morning星期天早上(シンチーティエンザオシャン)

阿顕(アーシエン)と姵伶(ペイリン)夫妻が切り盛りする「Sunday Morning」は、阿顕が厳選した台湾茶と姵怜の作るカフェ飯が人気で、近隣住民や彼らの友人たちがよく訪れる。

この阿顕、実は台湾でも大人気のロックバンド「非人物種」のボーカル。

そんなわけでこの店も自然と音楽系、バンド系の人々が集まる。

5月の周年記念イベントでは、前述の「半路珈琲」メンバーでもある芃芃(ポンポン)と杰達(ジエダー)も参戦。

阿顕曰く「台湾では毎週のようにフェスがあるけど、大きすぎて商業的すぎる」とのこと。

小さなものもあったほうがいい、オルタナティブさを追求し、2人はバンド「ヘイ・マハガラ」としてモノローグと即興ノイズのパフォーマンスを行った。

ともあれ、お茶も食事もおいしい。

なおこの場所、朝から正午までは阿顕の友人による弁当店「吃吃便當」が営業、2つの店が1つの場所をシェアしている。

 

芃芃と杰達たちによる「嘿maha嘎喇(ヘイ・マハガラ)」

この阿顕、実は台湾でも大人気のロックバンド「非人物種」のボーカル。

店名はアメリカのカウンターカルチャーバンド「Velvet Underground」の名曲から

姵伶が日本留学中に食べたという「バターごはんと焼き野菜定食」、バターごはんは何と北海道のローカルフードだ

Sunday Morning星期天早上

(シンチーティエンザオシャン) 

住:台北市大安区樂業街70號

電:0980-390-343

営:18時~24時(月曜休み、土日は14時~)

 FBsunteabar

2ページ目へ続きます。

続きはコチラから