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【食道をゆく】皮蛋(ピータン) ~中国江蘇省蘇州市~

皮蛋(ピータン)~中国江蘇省蘇州市~

「皮蛋(ピータン)」は、アヒルの卵を強いアルカリ性の条件で熟成させて製造したもので、鶏やウズラの卵で作ることもある。スライスしてそのまま生でも食べるが、中華料理では「皮蛋豆腐」や「皮蛋痩肉粥」などトッピングとして用いられることが多い。卵の調理法の中でも特殊なこの皮蛋の由来について、こんな伝承がある。

約400年前の明朝・泰昌年間、江蘇省の呉江県に小さな茶館を営む男がいた。店はすこぶる繁盛しており、人手が足りなかったため、男は客の応対に追われ忙しなく日々を送っていた。例えば使用済みの茶葉は裏のゴミ捨て場まで行かず、かまどの灰の中に捨てる…といった具合。

さておき、裏庭には数羽のアヒルがいた。アヒルは時々かまどの灰の中に卵を産み落とし、見つけられずに拾い忘れることも多かった。そんなある日のこと、男がかまどを掃除していると、やはりアヒルの卵が出てきた。これはもう食べられないだろうと思ったものの、試しに殻を剥いてみると白身の部分が黒々と光り輝いているではないか。また独特ながらも芳しい香りを放ち、男はついひと口かじってみた。するとどうだ、つるつると滑らかな口当たりに濃厚な味、男はぺろりと平らげたのだった。

見た目に苦手とする人もいる一方で、なくてはならないという人も。台湾を訪れて皮蛋のうまさを知らずに帰るのはもったいない。