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【食道をゆく】青團(チントゥアン)~江蘇省南京市~

青團(チントゥアン)~江蘇省南京市~

二十四節気の5番目の清明節、今年は4月5日(金)がそれに当たる。台湾など中華圏では、「寒食」と言って、この前日には火を使わない料理を食べるという風習があり、南方ではヨモギ団子「青團」が有名だ。

この日に青團を食べるようになった由来は、1850年に起きた太平天国の乱にあった――。

当時、清朝打倒を目指し北伐を開始した太平軍は、挙兵から2年で南京を攻略。その後も清朝軍との戦いを続け、清明節を迎えた頃のこと。ある村の水田に、1人の太平軍兵士が清朝軍に追われ逃げ込んできた。それを見た農民は兵士の顔や身体に泥を塗ると、仲間に装い助けてやった。

追って来た清朝軍は隠れた兵士を探すため、軍営を構えると捜索を開始。また逃げた兵士に食料を与えないよう、食べ物を持って出入りする者を入念に取り締まった。そこで農民はまた機転を利かせてヨモギの葉を混ぜた緑色の団子を作り、兵士に届けた。見張りの清朝兵もこれを食べ物とは思わず、すんなり通過させたという。こうして兵士は青團を食べながら飢えをしのいで清朝軍が去るのを待ち、本営に帰還することができたのだった。

太平軍は、兵士の命を救った青団を戦の際には必ず持参するようになり、青団も各地へと広まっていった。日本人にとってもどこか懐かしいヨモギの風味と甘い小豆餡の青團。お菓子屋さんを見かけたら、探して食べてみよう。