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2018.8.1
台湾本島の南西部に位置する高雄市は、かつて平埔族シラヤ族の馬卡道(マカタオ)族が暮らす土地で、彼らはこの地を「TAKAU(タカウ)」と呼んだ。これが中国清朝統治時代に「打狗(ダーゴウ)」や「打鼓(ダーグー)」などと呼ばれるようになり、日本統治時代の1920年になってから「高雄」の名に統一された。
最初に高雄を治めたのは、オランダ人。世界初の貿易会社である「東インド会社」が高雄に拠点を築き、イギリス人なども出入りするようになった。1661年鄭成功によってオランダが追放されるが、その後1683年に中国清朝が、1895年からは日本が統治する。この頃、海岸線沿いに鉄道などが敷設され、港湾都市としての機能を高めていった。
高雄へのアクセスは、なんといっても〝高鐡(高速鐡路=新幹線)〟が便利。高鐡路線としては最南端となる駅「左營(ズオイン)」駅までのチケットを購入しよう。所要時間は1時間34分~2時間14分と列車により異なり、チケットは指定席一般1490元、ビジネス席2195元、自由席は1445元/人。
台中や台南は高鐡駅が市中心部からやや離れており、バスやタクシーを利用しなければならないが、高雄はMRTが通っているのが便利なところ。高鐡高雄駅のすぐ隣にあるMRT「新左營」駅から乗車し、中心の「美麗島(メイリーダオ)」駅までたった6駅だ。
ちなみに高鐡駅のすぐ近くには、龍虎塔で有名な「蓮池潭」がある。
今回訪れる旧市街は、高雄市内でも南西にある「鹽埕区(イエンチェンチュー)」というエリア。MRT「美麗島」駅でオレンジラインの「西子湾」駅行きに乗り換え、2駅目の「鹽埕埔」駅から始めよう。
高雄には2017年9月に開通した〝軽軌(チングイ=ライトレール)〟と呼ばれる路面電車がある。こちらも悠遊卡や一通卡などICカードが利用できて、乗車賃は一律30元。海岸線の景色を眺めながら移動できるのでオススメ。
鹽埕埔の「鹽」は「塩」の旧字体で、この地では海で採れた塩を精製していたことからこの名が付いた。
この一帯は創業60年、70年、店によっては100年という〝老字號(老舗店)〟が多く、地元民もよく利用する。早速歩き始める前に、まずは腹ごしらえしよう。
店舗、というよりも路上の屋台に近いこちらも老舗の小籠包店。 あるのは道の脇に並べられたテーブルとイスだけ。 座るとおじさんが「1つ? 2つ?」といった具合に指を出してオーダーを聞いてくれる。
看板を見る限り、ほかに酸辣湯と猪血湯もあるようだが、 真夏にとろみのあるアツアツのスープはキツイかも、ということで小籠包のみオーダーする。
小籠包はさすが手作り、皮がふわふわでかなり慎重に扱わないとすぐ破れてしまう。 さっぱりシンプルな味で飽きが来ない、熟練の味だ。
日本人が描いた漫画には10個50元とあったが、現在は9個で60元。
(info)
住:高雄市鹽埕区鹽埕街33號 電:0912-436-908 営:11時~20時
タピオカミルクティーで有名なこちらのお店、なんとお茶専用の蛇口がある! 蛇口はそれぞれ紅茶や烏龍茶、プーアル茶、緑茶とさらに甘さの濃度で分けられていて、 オーダーが入ると素早く作り始める。
タピオカ入りは本体+5元とメニューにあるが、 奥に「珍珠免費(タピオカ無料)」と書かれた紙が貼ってあって、その通り無料で入れてくれた。
住:高雄市鹽埕区新樂街173號 電:07-521-8300 営:9時~21時 U:goo.gl/YCHuL2
細い路地にテーブルが並ぶ
小籠包は大きめで皮も厚め
さっき小籠包を食べたばかり…でもさくっと立ち寄っておきたいのがこちら。 ワンタンスープが有名で、60年の老舗なんだとか。
平日は14時開店とお昼時を過ぎていながら、オープンするとたちまち店内は満席に。 表に出したテーブルもいっぱいになり、遅くなって来ると行列も必至の人気店だ。
オススメはなんといっても「ワンタン麺」。 スープあり80元、なし100元のほか、牛肉ワンタンメ麺は140元など様々。 最もベーシックな「ワンタンスープ」なら70元で大ぶりのワンタンが5個入っている。
また隣の席のお客さん情報を信じてオーダーしたトンカツ「炸排骨(ザーパイグー)」は65元、 これぞ外側サクサク中ジューシー! 臭みがないのにしっかり味のある肉は柔らかく、脂が乗ってしっとりしている。
住:高雄市鹽埕区新樂街163巷1號 電:07-551-1378 営:14時~20時半(土日は11時半~)
小さな七輪でどんどんパンが焼けていく
玉子焼もほどよい焼き加減
漢字だけでなく注音も店名に入ったこちらは、朝と夜だけ営業する朝ごはん&夜食の店。 朝は間に合わなかったので夜オープン直後に出なおすと、すでに10人程度並んでいる。
メニューは日本語版も用意されていて、日本人にもじわじわ人気が出てきているとわかる。 並びながらふとキッチンを覗いてビックリ、なんとパンを七輪で焼いている! 店名の「碳烤」は炭焼きのことだが、こういうことだったか…。 思いのほか焼けるのが速く、4枚ずつ焼いては隣のスタッフに渡し、 そこで具材を挟んでいくベルトコンベア風システムだった。
初めてならやはりまずは「招牌三明治」(40元)で決まり。 ちょっと甘い玉子焼にキュウリの千切りとハムが入って、ベーシックな朝食(夜食)を楽しめる。 ドリンクはこちらも台湾式に「豆漿(豆乳)」か「紅茶豆漿」(各15元/小、30元/大)で。
住:高雄市鹽埕区大公路78號 電:07-561-0262 営:7時~10時50分、18時~23時 FB:grilled.sandwiches
旧市街というだけあって、この一帯には古くから残る建築物をリノベートしたスポットがたくさん。 かつての姿に想いを馳せながら、たっぷり散策しよう。
レトロな書体と絵柄のマステはお土産にピッタリ
オリジナルのフィルムを模したマステはいつも売り切れ…
高雄市政府が2000年、映画文化産業の推進を図るために建設した、いわば映画の博物館。 ロマンティックなデートスポットとして知られる「愛河」の畔にあり、 かつては中学校、それから政府関連の窓口機関、その後音楽スタジオと変遷してきた。
現在は企画上映が主で、年に一度の高雄フィルムフェスティバルでも上映館として活躍する。 ちなみに取材時の特集上映は、日本の巨匠・鈴木清順とカンヌグランプリの是枝裕和監督作品だった。
また併設のショップでは上映作品関連のグッズや、地元アーティストの作品なども販売しており、 マスキングテープなどこれがけっこう人気で売り切れも多いそうだ。
ロビーに設置された旧式の32mmフィルム映写機が渋い。 これで上映している映画館はすでに台湾にはなく、日本にも5館程度しかないのだとか。
住:高雄市鹽埕区河西路10號 電:07-551-1211 営:13時半~21時半(月曜休み) U:kfa.kcg.gov.tw
↑朝から夜、24時間の街並みを眺める
バラの形の愛玉にレモンシロップでさっぱりと→
およそ100年前、日本統治時代に敷設された鉄道の傍に建つこの倉庫群は、 港に停泊する船から降ろした砂糖や油など積み荷を一時保管するための場所だった。 「駁」は貨物の積み下ろしのこと、「二」は倉庫の番号を取って今も使われている。
倉庫は東西に点在する形で、アートギャラリーやショップ、カフェなどが入居。
中でもイチオシは「哈瑪星(ハマシン)台湾鐵道館」。 日本によって建設された鉄道の歴史を展示する博物館だ。
「哈瑪星」とは日本語の「濱線」の音に漢字を充てたもの。 当時の駅名標示や機関車のほか、各地の街並みを再現したジオラマが圧巻! ジオラマに登場するのは高雄だけでなく、屏東や基隆、新竹に花蓮など各地の風景だ。
そのほか手作りの「愛玉(オーギョーチ)」で有名な「小本愛玉」もすぐ隣に。 バラをかたどった上品で夏にぴったりのスイーツだ。
住:高雄市鹽埕区大勇路1號 電:07-521-4899 営:10時~18時(金~日曜は~20時) U:pier-2.khcc.gov.tw
西子湾エリアの小高い丘の上に建つ赤レンガ造りの建物は旧イギリス領事官邸、麓にあるのが領事館。 1858年に清朝とイギリスが天津条約を結び、旧名〝打狗〟港が開港された際、税関とともに設置された。 領事館内部では当時の港の様子や帆船模型、会談する中英代表の蝋人形などが展示されている。
石の階段は少々急勾配だが、5分ほどで登り切れる。 上がった先の領事官邸はショップとカフェが入っていて、ここのアフタヌーンティを逃してはいけない。
住:高雄市鼓山區蓮海路20號 電:07-525-0100 営:9時~19時 U:britishconsulate.khcc.gov.tw
¥:99元/人(30元分のサービス券付き)
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