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【食道をゆく】薩其馬(サチマ) ~遼寧省瀋陽市~

薩其馬(サチマ)~遼寧省瀋陽市~

「沙其瑪」や「沙琪瑪」とも書く。
小麦粉と卵を混ぜた生地を棒状に切り、油で揚げ水飴で固めた、日本のおこし風中華菓子だ。
スーパーでは20個入り100元程度で売られており、昔から庶民に愛される菓子の1つだが、その名の由来は子どもには聞かせられないような罵り言葉にあった。

時は満州族が治める清朝の時代、当時の首都であった今の瀋陽市に、薩という苗字の将軍がいた。馬に乗って狩猟をするのが趣味で、その後には決まって甘いものを食べる習慣があった。ところが毎度新しいものを要求していたため、料理人はいつも頭を悩ませていたという。
ある日アイデアに窮した料理人は、将軍の無理難題に腹を立て「殺那個騎馬的(あの馬に乗った奴を殺すぞ)!」と悪態を吐きながら、投げやりにその辺にあった小麦粉と卵を混ぜ、揚げて水飴で固めたものを出した。
しかし存外おいしいと気に入った将軍が菓子の名前を尋ねたところ、料理人は慌ててとっさに「殺騎馬」と答えてしまった。
これを将軍は自分の苗字と発音の似た「薩其馬」と取り違え、その後はより聞こえのよい漢字を宛がうようになり、ゴマやナッツ類を加えるなどアレンジもされつつ、幾つかの名前で広まることとなったのだった。

薩其馬は1個で約200キロカロリー、脂肪分約54%という高カロリーの菓子。あちこち観光に歩きながらカロリーを消費しつつ、素朴な伝統菓子を味わおう。