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【食道をゆく】月餅(ユエビン)~中国江蘇省蘇州市~

月餅(ユエビン)~中国江蘇省蘇州市~

旧暦8月15日の中秋節、この節句を祝って中華圏で食べる伝統菓子「月餅」は地域により、中に包む餡や材料に違いがあり、そのいわれについても諸説ある。

一説によると、月餅は「太師餅」や「胡餅」の名で呼ばれていたという。「太師餅」は周の時代に、前王朝の忠臣・太師聞仲を記念して作られ、大量の餡を薄い皮で包んだもので、これが月餅の始祖とされる。
その後、漢代になってゴマやクルミが西域から輸入されるようになり、これらを餡とした「胡餅」が生まれた。

ではいつから「月餅」になったのか。
〝世界三大美女〟として有名な、かの楊貴妃がその鍵を握っている。

時は唐代、第6代皇帝の玄宗が中秋節に妻の楊貴妃を携え月見に出かけた。そこで「胡餅」を食べていると、玄宗がこの菓子の名前が気に入らないとこぼし始めた。すると楊貴妃は満月を仰ぎ見ながら「それでは〝月餅〟と呼びましょう」と玄宗を宥め、これが民間に広く伝わっていった。

2人が食べた月餅は、蘇州発祥の「蘇式」月餅で、薄いパイ生地のサクサクとしたもの。中国北部のナッツや松の実を入れたもの、アヒルの卵を塩水に漬けた「鹹蛋」の入った広東式など、地方により異なる味を持つ。台湾では月餅のほか「蛋黄酥」を食べる独特の文化も。またハーゲンダッツのアイス月餅など、変わり種も登場している。

この時期になると台湾茶店と菓子店はオリジナルの月餅を売り始める。包装も華やかで美しく、お土産にオススメだ。